お祭りだ!

メキシコの中で先住民人口が最も多いオアハカ州を訪れた。
彼らは長い苦難の歴史にもめげず、世代から世代へと素晴らしい伝統文化を継承し続けている。
オアハカ市から車で四十分ほど行った所にある村で、偶然、祭りの準備に忙しい子どもたちに出会った。
小さな男の子たちが頭の上に大きな飾りをつけ、元気よく踊っている。ユーモラスな仮面をつけている男の子、スカートがふわりと広がる美しいドレスを着た女の子もいる。興味を持って覗きこんでいたら、中から手招きする人がいる。誘われて入っていくと、中には踊る子どもたちの母親たちが大勢集い、着付けを手伝ったり、踊り疲れた子どもに水を飲ませ、噴出す汗を拭いたりしていた。みんな生き生きと、忙しく立ち働いている。「この子どもたちは、七歳のダンスグループで、幼稚園のときから練習を積み重ねているんです」最初に手招きしてくれた男性が話しかけてくる。
「この村では7月の第一週に祭りがあるんですが、そのときに、神にささげる踊りをこの子たちは踊ることになっているので、張りきって練習しているんですよ」その男性は、このグループの踊りの先生だという。普段は農業を営んでいる村人だ。母親たちも忙しい農作業の合間を縫って、こうして子どもたちを練習に連れてきているのだ。
「私たちの先祖がつちかってきた素晴らしい伝統文化は、大人たちが責任を持って子 どもたちに伝えていかなければ、そこで終わってしまうんです。私は、子どもたちにサポテカの言葉を理解して欲しいし、民族の誇りを失わないで欲しい。そしてまたその子へと、伝えて行って欲しいんです。私たちの生活は貧しく苦しいですが、こうして踊っているときはたまらない喜びを感じますよ」母親の一人が、持参したバスケットを広げて、このあたりの名物の美味しいチーズとアボカドが挟んである大きなサンドイッチを私に手渡して、にっこりと微笑んだ。外はメキシコの激しい太陽が照り付けて、大きな衣装を着けた子どもたちは汗だくになりながらもいつまでも元気に踊っている。
母親たちは手拍子しながら声援を送り、笑顔を浮かべながら我が子の姿を満足げに見つめていた。