家畜のための水と草を求めて、広い砂漠を移動して生きる遊牧民の一家に出会った。
砂漠の彼方にもうもうとあがる砂埃を、何だろうと思って見ていると、しばらくして何百頭もの牛の群れが浮かび上がった。赤いターバンを巻いた長身の男が、棒を振り回して群れを追っている。どこへ行くのだろうと後をついて行く。やがて前方に小さなキャンプ地が見えてきた。移動型の家が数軒たっている。それらは、家と呼ぶのもはばかられるほど簡素な、木の棒とござ、そして布を使っただけのものだったが、激しい太陽の日差しを避けるためにはこれで十分だ。回りを見渡してみても、まともな木陰すらない。まだ午前中だというのに、もう目を開けているのがつらいほど日差しが眩しく、この太陽の下に五分も立っていたら体中干上がってしまいそうだ。 家の中では老人たちが体を横たえて休んでいた。あいさつをすると、優しい笑顔で静かにうなずいた。外で遊んでいた子どもたちは私たちを取り囲み、口々に何かを叫んで笑い転げた。熱い砂漠の砂の上を裸足で走り回り、女の子も男の子も、みんな元気いっぱいだ。見たところ、家財道具はほとんどなく、いくつかの鍋がころんと転がっているくらいだ。逃げ場のまったくない灼熱の大地で、何にも守られずに家族だけで力を合わせて生きていく人生の、厳しさと力強さに圧倒された。
ワンパクな子どもたちは野性的で、その目はらんらんと輝いていた。彼らに写真を送りたいけど、移動を続ける彼らには住所はない。
今日も元気でいて欲しい、と、夜空の月に伝言を頼んだ。