ヤシ酒を飲んで踊ろう

アフリカの中央部に横たわる巨大な熱帯雨林。
そこには、自然の恵みを享受しながら生きる、ピグミーと呼ばれる人々が暮らしている。彼らは森の中に罠を仕掛け動物を獲り、狩りをし、木の実や野草を採集して、自然と一体となって生きている。
どこから来たかもわからない奇妙な来訪者である我々をピグミーの人々は暖かく迎えてくれた。長老に願い出て集落にテントを張らせてもらい、しばらくの間寝食を共にしたじっとしていても、体中 から 汗がほとばしり落ちるほどの熱気に森は包まれ 汗だくになりながら、森の中を共に歩き、仕掛けた罠を見て回る。夜になると、罠に掛かっていた小さなアンテロープをシチューにして分け合った。ヤシ酒を酌み交わすうちに、タイコの音が森の中響きはじめ、ひとり、またひとりと立ち上がり歌いながら踊りはじめた。力強いリズムに誘われて我々も立ち上がる。ヤシ酒の酔いが回ってきたのか、足元がふらつく。タイコは加速度を増していき、森は幾重ものリズムの波に巻き込まれていく。これは夢か、現実なのか?私の頭の中も回転しがら天に昇りはじめた。 翌日は、もう日が高くなってから、テントからごそごそ と這い出した。外にいた長老と目が合う。彼も目覚めたばかりのようだ。目と目が合って彼は 嬉しそうに、やっと笑った。私も、へへへ、と笑う。「また踊ろうか?」彼はそんなしぐさをしてみせた。共に飲んで踊った夜があけてから、ぐんと距離が近くなった気がした。それまでは恥ずかしそうにしていたおばちゃんたちも、何もかもわかっているわよ、というような親しげな笑顔を見せはじめた、これだから旅は楽しい。