家族の肖像

行けども行けども延々と広がる田畑。
ブータンの人々の多くは農民だ。農民たちの一日は忙しい。朝から晩まで、畑を耕し、牛を追い、糸を紡いで布を織り、食べるものも、着るものも、生活に必要な物はほとんど全て自分たちの手で作り出すのだ。厳しい自然と共に生きるのは、生易しいことではない。過酷な重労働を終えた一日の楽しみは、質素だが暖かい食卓を一家団欒で囲む時間だ。尊敬され大切にされるご老人、威厳のあるお父さんと働き者で優しいお母さん、そしてやんちゃな子どもたち。電気のない夜の食卓を、ランプの灯りがほんわりと照らし出す。豊かさとは、何だろう…。
深い緑と祈りに包まれた国、ブータン。いくつもの優しい笑顔が迎えてくれたこの国を、私は決して忘れないだろう。