静かな祈り
峠や丘の上、道路わきや寺の前など、至るところに縦長の旗や、小さな五色の布が掲げられている。近付いていってよく見てみると、これらの布にはぎっちりと経文が書かれている。風が吹くとこの旗や布がはためいて、経文が風に乗り世界中に行き渡っていくのだという。ブータンの人々は、世界の平和のために、静かな祈りを日々ささげているのだ。寺院はいつも、お年寄りでいっぱいだ。
寺院の入り口に吊るされた、釣鐘のような巨大なマニ車の中には経文が収められており、それを回せばその経を読んだのと同じ功徳があるという。寺院の壁の回りをこのマニ車を回しながら参詣するのが、多くの人々の大切な日課なのだ。祈る老人たちに混ざって、私も重たいマニ車を回してみた。これまで生きてきた年月を感じさせる、深い皺の刻まれた横顔を見つめながら、彼らの祈りに想いをはせる。穏やかな表情で、何を祈っているのだろう?世界中の全ての人々に、ささやかな幸せと、平穏な毎日を。
そう祈らずにはいられない、深い感慨に包まれた。