真夏のマジックそれにしても暑い。
暑すぎる。私は暑さにあえぎつつレンタルバイクで島内を走り回っていた。
人々の笑顔を撮りに来たのに、これだけ走ってもなかなか人に出会えない。私はため息をついた。林に沿った道を抜けると、突然、目の前に真っ青な海が広がった。よく晴れた明るい空に、白い雲がぷかり、ぷかりと浮かんでいる。海の水は透明に澄んで、珊瑚礁の底まで見えるほどだ。私はバイクを停め、砂浜で雲の撮影をはじめた。どのくらいの時間が経っただろう。バイクが一台、通り過ぎたと思ったら、間もなく引き返し、私たちのそばまで戻りエンジンを止めた。彼はこの島唯一の新聞社の記者だという。しばらく雑談をして、私たちの写真を撮った彼は、再びバイクにまたがり、別れを告げて去っていった。
翌朝、また島の中を走り回ろうと、まずはガソリンスタンドに寄った。はじめに目が合った青年は私たちの顔を見てあっと叫び、事務所に駆け込むと同僚数人を連れて戻ってきた。みんな私たちを指差して何かを言っている。けげんな顔をしていると、青年がガソリンスタンドのレジに積み上げて売られている新聞を一部引き抜き、私に差し出した。なんと、一面にでかでかと、私の顔が載っているではないか。トップの見出しに、「日本からの写真家、バミューダで雲の撮影」とある。それからというもの、店で買い物をすればレジのおばちゃんが、レストランで食事をすればウェイトレスのお姉さんが、公園に行けば家族連れが、「新聞、見たわよ」と声をかけてくれる。握手を求めてくる人、私の顔を見たとたんに大笑いをはじめる人。おかげで、多くの人々の笑顔に出会うことができた。次回あの新聞記者に会ったら、ビールでもご馳走したいものだ。